うつ発病

平成14年夏、うつが発病した。原因は、仕事。平成12年に医療系の技士として就職して、1人部署でなんとかやってきた周りの評価も「新人で、1人部署なのに、頑張っているというようなもので、遣り甲斐も感じていた。

しかし、3年目ともなると評価も段々と変わってきた。「3年目ったらもう中堅だよね?もうちょっと業務改善案とかが出てこないもんかね?」「毎日毎日ルーチン業務だけで満足している。新人の頃から全く成長してない」というようなマイナスな評価に。直接は言ってこないが、たまたま自分が休憩室に入ろうとするとそう言う声が聞こえてきた・・・

初めてそういう声を聞いた時は、正直足が震えた。ショックだった。自分なりに頑張ってきたつもりだけど、それが全然評価されていない。その後の仕事も手につかなかった。とにかく、「なんとか信頼を回復しないと」その事だけを考えながら、就職して3年目を迎えた。しかし、この年が最悪の年になる。

「業務改善案のひとつぐらい、3年目なら思いつくもんだけどね」と言う声。なんとか自分の評価を上げようと業務改善案を次々と考え提示していった。・・・しかし、それは全て空回りになり、逆に評価を下げる事になってしまった。「患者をモルモット扱いしている」「病院の経費節減を考えていない」「自分だけでなく、周りの仕事も増える」

自分が必死に考えて、寝る間も惜しんで作成した業務改善案の書類が、次々にゴミ箱に捨てられていく。自分はもう、どうしたら評価を上げることができるか解らなくなっていった。この頃から、夜寝れなくなってきていた。朝起きてご飯を食べる時、通勤の地下鉄の中、業務中、帰ってきてから床に就いても、「どうしたら自分の評価が上がるか」それしか考えられなくなっていた。

しかし、考えても考えても出ない答え。考えてばっかりで、寝ようと思っても寝れない。それを察知したのか、統合失調症を患っている父が、睡眠薬をくれた。「試しに飲んでみろ」と。しかし、それでも眠ることができず、夜、寝酒を飲むようになった。最初はビール2缶ぐらい。しかし、それだと酔うことすらできなくなり、日本酒へ。1合、2合、3合・・・最終的には1升飲むまで寝れなくなる。

それだけ飲むと、一旦寝れても気持ち悪くなり吐く為にトイレに起きてしまう。突発的に仕事の事でどうしようもなく気持ちが沈み、泣きながら頭を壁に打ち付けていた事もあった。そんな状況で朝から普通に仕事ができるわけがない。しかも、医療職というミスの許されない現場で・・・しかし、その許されない事を遂にはやってしまったのである。

夜寝る前に1升の日本酒を飲み、朝出勤、と言う毎日。こんな状況下で、何が起きてもおかしくはなかったのかもしれない。・・・遂に、やってしまった。職場での大きなミス。患者様には影響はなかったものの、ミス自体の発見が遅れれば、なんらかの影響はあったと思われるミス。「ヒヤリハット」「インシデント」と呼ばれるもの。

同僚達はとことん自分を責め、「明日院長に報告しないと」と言われた。・・・今思うと、確かに大きなミスとは言え、結果患者様に影響はなかったわけだし、院長に報告されても、きちんと謝罪をし、始末書を書けば、その後は普通に働けたはずだった。

しかし、その頃の同僚は自分への不満が募っており、「院長に報告したら、クビになるかもなぁ~」と面白半分に口にし、更に自分自身もそれを本気に取り、「そうか・・・自分はクビになるんだな・・・」と、とんでもなく気分が落ち込んで職場で初めて泣いた。帰りの地下鉄の中でも人目をはばからず泣いた。全てをマイナスに捉えてしまっていた。

患者様には影響はなかったのに、「患者様に迷惑をかけた」と、必要以上に自分を責め同僚に迷惑をかけた、と、更に自分を責め明日院長から「クビ」を言い渡される、と決め込み【自分は、生きている価値がない。ダメ人間だ。死んで償おうそう感じた。

その日の夜、日本酒ではなくウイスキーを買った。『アルコール度数が高いから』と言う理由で。父からもらったが、飲んでいなかった睡眠薬、30錠をまとめて飲み、ウイスキーストレートで流し込む。700mlのウイスキーボトルを、一気に飲み干した。アルコールと睡眠薬を同時に飲むと、効き目が強くなる、と言う事は知っていた。

これで、死ねる・・・そう思って、ベッドに横になった。
「父さん、母さん、ごめんなさい・・・」

という思いが沸いたが、それはすぐに消え、眠りに落ちていた。・・・ここから先の記憶が、あまりないので、両親の話を基に記事を書くことにする。どうやら、自殺は失敗したらしく、朝、目覚ましはかけてなかったが(自殺する翌朝に目覚ましをかける人はいるとは思えないが)、普通に目覚めたらしく、普通に居間で朝食を摂ったらしい。

もともと会話もあまりなかったし、朝食を摂ったところまでは両親には何も気づかれなかった。しかし、食後自分の部屋に帰る時、足を引きずっていたのを母が見逃さなかった。「どうした?足怪我でもした?と問いかけれた瞬間、自分は泣き崩れたらしい。

「ごめんなさい!ごめんなさい!」「クビになるけど、行かなくちゃいけないんだ」「クビになるの怖いよ!怖いよ!」などと言いながら。

父が飛んできて、すぐに私を地元の精神科病院へ連れて行った。(後の父曰く、『精神が危うい状態な事は解っていた。何かあったらすぐに病院へ連れて行こうと思っていた」との事)そこで、「抑うつ状態」と言う診断をもらい、医師から「辛かったら無理して仕事行かなくてもいい。休みなさい」と、1ヶ月の休職の診断書を書いてもらった。

そして、抗うつ薬や睡眠薬などを処方してもらい、昼頃、また父と一緒に帰宅したこうして、うつが発病し、これから長い闘病生活が始まった。

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